2011年12月7日水曜日

課題の締切

課題の締切を21日まで延ばします。書き方についてはここをクリックしてください。

2011年12月6日火曜日

テキスト

繰り返し講義で伝えてきたように、当初予定していたテキストが品切れとなったため、テキストを『アメリカン・デモクラシーの逆説』に変えました。


丸善に入荷していますので、早目に手に入れることをお勧めします。試験は「一切参照不可」ですので、試験当日に本そのものを持っていなくとも大丈夫ですが、テキストに関する問題は試験の4割となりますので、読まずに試験を受けると点数がかなり低くなるでしょう。

2011年10月5日水曜日

交換留学生の帰国報告会

日時:平成23年10月12日(水)午後2時45分~

場所:1173教室(図書館のAVホールではなくて、11号館の7階)

聞いた話の要約や感想を800字以上の文にまとめてメールで送ってくれれば、課題として認めます。

2011年9月29日木曜日

教科書について

先日、教科書を販売している丸善から次の連絡を受けました。
昨日版元、先生が秋学期に採用されていた『愛国の作法』(朝日出版社)が品切れ返品待ち、重版予定なしとの連絡がありました。店内に在庫もないため、未だ教科書の用意ができておらず誠に申し訳ございません。
違う本を教科書として指定しますが、選定に数日が必要です。結論を来週の講義で知らせる予定です。

2011年9月9日金曜日

食事と健康に関するアンケートにご協力ください

たいへん遅くなりましたが、春学期の講義の最後の方で話していた食事と健康に関するアンケートができましたので、協力していただければ幸いです。やや長いアンケートですが、学籍番号を入力してもらえれば秋学期の成績評価を行う際に多少プラス評価します。

ここをクリックして、アンケートに答えてください。

2011年7月31日日曜日

「私たちはあなた方と共に同じ」

今年の日本語弁論大会での留学生の弁論の質の高さに驚かされました。NHKの全国大会と比べてもけっして劣らないレベルだったように思います。すばらしいスピーチがたくさんありましたが、中身的には、それまで比較文化論の講義で話していた内容によく一致しているという意味で中国から来日した韓簫(カンショウ)君の弁論を受講生の皆さんに聞いてもらいたいと思いました。先日、韓君にお願いしてみたところ、ブログに載せてもいいという返事をいただきましたので、こうして投稿することにしました。ぜひ読んでみてください。
私の故郷は四川省の成都市です。成都市は古くから「天府の国」と呼ばれています。皆さんはご存じだと思います。日中戦争の時、成都は大爆撃があったとされている所です。それで、今まで成都市の住民たちは日本政府に対して、良い印象を持っていませんでした。当時の生存者は今でも日本政府に賠償請求訴訟をしています。

私の故郷の人は多くの中国人と同じように、日本に対してあまり好感を持っていませんでした。しかし私は日本文化に興味を持ち、日本文化を学ぶことのできる大学に入学し、現在日本語を勉強しています。私の友達の多くは「世界中にいろいろな言葉があるのに、どうして日本語を勉強したい、日本語を勉強して何がしたいのか?」このように言いました。特に、私のおばあさんは日中戦争を体験したので、私が日本に行く理由をまったく理解してくれませんでした。

しかし、中国の人たちの日本に対する印象を大きく変える出来事が起こりました。2008年5月12日に大きな地震が発生したのです。地震の中心部、四川省は救援活動がとても困難でした。その大変な時、日本から医師や看護師で編成される緊急援助隊など派遣されました。私の故郷の住民も日本人への印象が変わりました。特に、日本救助隊が発見した被災者の遺体にお辞儀をしながら黙祷をささげている写真を見て、多くの中国人が心から感動しました。

今年、日本の東北地方で大きな地震があり、中国人にどんな反応があったのか、皆さんは知っていますか?実は、中国国家テレビはすぐにNHKの映像を中継放送していました。多くの中国人はそれを見てとても驚きました。特に、私の故郷は「同じ体験をした者として、少しでも助けになりたい」という考えを持っている人がたくさんいました。私の友達は「四川大地震の際、日本は中国に同情を示し、支援を提供した」、「私たちは日本に対して冷淡な姿勢をとらず、日本国民が震災で見せた優れた人間性をよく見て見習うべきだ」と言いました。

地球はただ一つだけで、人類は同じ仲間ではないでしょうか。同じ天災に直面して、日本人も中国人も、同じ運命ではないか。なぜ、戦争が終わって、もう半世紀が経った現在、敵対的な態度を持っている人がいますか。彼らはどうしてこんなにすばらしい国のことを知らないのでしょうか?私は何度も自分に問いかけてみました。中国も日本も相手の真実を知らずにただ嫌っている人がいます。私たち若者に、いったい何ができるのだろうか。

夜中、私一人で、心静かにして考えました。留学生としての私はただ1年間しか滞在することができませんが、できるだけ真実の日本を心で感じたいです。私や、私の家族だけが正しい日本の姿を見ることになること。それより、大勢の故郷の人たちが本当の日本を知ることの方が、もっと大切ではないかと感じています。ですから、私は日本語が上手になりたいと思います。もっと日本社会を体験したいと思います。日本留学を終えたら、故郷へ帰って、真実の日本を伝えたいです。日本人の勤勉さや、日本人の礼儀正しさや、日本語及び日本文化を、中国の人たちに伝えていきたいと思います。

ご静聴、ありがとうございました。

2011年7月17日日曜日

ボランティア募集

他者への思いやりを大事にし、自分と異なる環境で生きてこられた人と積極的に交流するという意味で本講義の趣旨と関連のあるボランティアの機会を紹介しましす。詳しくは市からの「ボランティア募集・イベントのお知らせ」を見てください。


2011年7月6日水曜日

春学期の主なキーワード

すべてではありませんが、次のリストは春学期に取り上げた主な概念や内容のリストです。期末試験に向けて、これらの概念の関連で紹介した例等を復習して、例示しながら説明できるようにしてください。
  1. 基礎的なもの
    1. 講義の目的
    2. 文化の定義
    3. 思い込み
    4. 文化論の誤用
  2. メディア
  3. コミュニケーション
    1. アサーティブ・コミュニケーション
    2. 「自己主張」
    3. コミュニケーションにおける責任
    4. 「場」とコミュニケーション
    5. 「試験」や「課題」とコミュニケーション
  4. 言語
    1. 授業で見せた図
    2. 翻訳
    3. 語学
なお、これは網羅的なリストではありません。主なものは書いていますが、これ以外にも期末試験で問う内容があるかもしれません。

英語学習について

次のような勉強方法をおすすめします。

2011年6月28日火曜日

課題の締め切り日

課題について」では、課題の締め切り日を「7月6日(水)」と指定しています。しかし、先週の授業で締め切り日が近づいてきていることに言及するのを忘れてしまいましたので、一週間延長して、7月13日(水)までに改めたいと思います。ただ、できるだけ13日を待たずに、早めに提出してほしいと思います。

2011年6月7日火曜日

留学帰国報告会

最近、次の内容のチラシをもらいました。
日時:6月8日(水)
場所:English Lounge (1号館1階)
内容:イギリス、オーストラリア、カナダなどの英語圏

留学に興味がある人、海外旅行に行ってみたい人などなど、海外について興味がある人はどんどん来てみてください。

☆途中参加・途中退席OK!
☆ドリンク・おかしいも無料で提供します!
☆申し込み不要!
☆全学部参加できます!!
出席したことが十分にわかるように、報告内容や感想等を600字以上の文でまとめて、6月13日の深夜までに、メールで私宛に送ってもらえれば課題として認めます。

2011年6月1日水曜日

メールをめぐる不正行為について

先週の授業の直後に次の4通のメールが来ました。
12:25
日本の場合、国会などで野次される側の人は野次をされても無表情で何事もなかったように文章を読みつづける固いイメージがありますが、アメリカの場合だと、その野次をジョークに返れる切り返しの早さに羨ましく思います。誰しもがそうではないかもしれないけれど、日本人に比べるとアメリカ人の方がその場を明るく楽しくする力が高いと思います。私も早い切り返しができたらいいなとすごく思っています。

12:41
日本では政治で野次される人はされても何もなかったように文章を読みつづけたり全く気にしない感じがしますが、アメリカだとその野次をジョークかのように上手にもっていく切り返しのよさがすごいと思います。アメリカ人全員がそうではないかもしれないけれど、日本人に比べるとアメリカ人の方が臨機応変に雰囲気を変えられると思います。私も普段から面白い話ができる人になりたいと思ってるので人を見て自分のものにしていきたいなぁと思いました。

12:56
日本では政治で野次される人はされても何もないかのように文を読みつづけたりして、全く気にしない感じがするが、アメリカだとその野次をうまく話にもっていく切り返しの良さがいいと思った。アメリカ人の全員がそうではないかもしれないけど日本人に比べてみればアメリカ人の方が臨機応変に雰囲気を変えられると思う。

13:31
日本では政治で野次される人はされても何もなかったように文章を読みつづけたり全く気にしない感じがしますが、アメリカだとその野次をジョークかのように上手にもっていく切り返しのよさがすごいと思います。アメリカ人全員がそうではないかもしれないけれど、日本人に比べるとアメリカ人の方が臨機応変に雰囲気を変えられると思います。私も普段から面白い話ができる人になりたいと思ってるので人を見て自分のものにしていきたいと思いました。
今回は厳重注意したたげですが、このような行為を不正行為と見なしている理由について、講義で説明する予定です。ちなみに、このメールとは別に同じような問題のメールは他にもありました。

2011年5月31日火曜日

学生を退室させた件について

先週、私語を注意している最中に私語を続ける学生がいましたので、退室させました。その件について、誤解がないように3つのことを明確にしてほしいと思います。
  1. 退室させたことは前回限りのこと
    退室させた学生に、私語しないで、授業に参加してほしいと思います。私としては、先週退出させたことは先週限りのことです。
  2. 「静かになってよかった」との声が多かった
    私語の件について、たくさんのメールをもらいました。圧倒的な多かったのは「静かになってよかった」との主旨のメールでした。私語がしたいと思ったときに、私の気持ちよりも、やはり、他の受講生の気持ちを考えてほしいと思います。
  3. 机を叩いたのは、やはり、やり過ぎだったと思う
    多くの受講生は、異口同音に「厳しく注意してよかった」と書いてくれました。しかし、一人の受講生は次のように書いてくれました。「今日の講義ではいつもより私語が少なくて良かったと思います。でも、あれくらいの私語で机を叩いたのは少しやりすぎかなぁとも感じました。」実は、私もそう思います。私語を続けた学生を退室させたのはよかっただろうと思いますが、やはり、机を叩かずに、より冷静に対応すべきだったと思います。特に「アメリカ人はそうするのか?」と思われたら困ると思っています。もし、先週の私の注意の仕方をだれかが携帯などで録画していて、そして複数のアメリカの大学教員に見せたら、ほとんどの人は「けしからん」とか「行き過ぎ」とか「みっともない」というようなことを言うと思います。机を叩いたのは「アメリカ人のやり方」ではなく、未熟な私がしてしまったことです。
最後に、私語の件についてメールを書いてくれた皆さんにお礼を述べたいと思います。私を応援したり励ましたりするメールが多かったこともたいへんありがたいと思いますし、「机を叩いたのは少しやりすぎ」とストレートに書いてくれた学生も偉いと思います。「ちょっとやりすぎ」と思っても、実名でその意見を教員に送るのをためらう学生が多いだろうと思います。しかし、その学生の書き方はまったく攻撃的ではなく、授業でも話している「アサーティブ・コミュニケーション」のお手本のような書き方だと思います。このような形で、攻撃的な言い方を避けながら、相手にちゃんとわかるように意見を伝える習慣は、国際的な仕事場などでたいへん役に立つと思います。

2011年5月25日水曜日

外国人留学生弁論大会

国際教育課のホームーベージからの情報です。

第21回外国人留学生弁論大会
  • 日時: 平成23(2011)年6月11日(土)
    13:00開場 13:30開演
  • 会場: 多目的ホール(熊本学園大学 学生会館4階)
  • 入場: 無料
  • 出場者(予定): 本学に在籍する世界各国からの学生
弁論大会に出席して、弁論をよく聞いたことが伝わるように、600字以上の感想文を書いて、メールで送ってくれれば、課題として認めます。

2011年5月24日火曜日

English Lounge

受講生の皆さんにEnglish Loungeの利用をお勧めします。この講義の課題にはなりませんが、ぜひ覗いてみてほしいと思います。

2011年5月18日水曜日

課題の他の済まし方

この講義では、課題を一回提出することになっています。通常のやり方以外の選択肢をこのポストで紹介します。
  1. 留学報告会
    報告会に出席したことが十分にわかるよう、600字以上の要約と感想を書いてメールを私に送ること。
  2. 多文化共生に関する講演会
    講演会に出席したことが十分にわかるよう、600字以上の要約と感想を書いてメールを私に送ること。

「掴めチャイナ(第五夜) 加藤嘉一」について

2011年5月11日水曜日

課題について

この講義には課題があり、一回だけ提出することになっています。通常の課題のやり方についてはここをクリックしてください。今日の講義で、それに代わる済まし方を提案しました。スコットランドから来ている留学生が長崎で行った被爆者に対するインタビューのテープ起こしを手伝うことです。5分ほどの話を書き留めてから、その日本語をできるだけわかりやすく説明してもらえれば、課題の評価を満点とします。詳しくはメールで問い合わせてほしいですが、まずそのインタピューの動画と音声をここに載せます。リンクに右クリックをすれば、ファイルをダウンロードして、パソコンでゆっくりと聞くことができます。
  1. 前半
    • mp3 (音声のみ〜 59MB)
    • mp4 (動画〜90MB)
  2. 後半
    • mp3 (音声のみ〜62MB)
    • mp4 (動画〜92MB)
音声のファイルはどのパソコンでも再生できるはずです。動画のmp4はWindowsでも再生できるはずですが、場合によってはiTunesVLC Media Playerをダウンロードする必要があるかも知れません。

2011年4月13日水曜日

Twitterへの書き込み

今日は今学期最初の講義でした。今日は時間配分がうまくいかず、やや中途半端な形で授業を終わらせることになりました。もっと時間があれば、Twitterで届いたtweetを紹介できなかったのですが、できませんでしたので、ここで紹介したいと思います。下の「G:」 は「学生」のことで「M:」は「マスデン」を指します。

  • 留学について

    G:「語学留学ならPBT450くらいで初級の上もしくわ中級の下クラスです。資格(専門)留学なら PBT530以上が目安です。語学学校には専門コースが併設されてることが多いので、英語コース→専門コースという留学が可能です。」
    M: ありがとうございました。学園大の派遣の条件と先方大学の受け入れの条件(語学学校に入らず、通常授業を受けるためには何点が必要か、など)が異なります。今、確認したところ、英米学科以外の学科の場合、応募条件としての最低ラインはPBT400点だそうです。ちなみに、PBTはPaper-based TOEFLの頭文字です。

  • 語学について

    G:「先生は日本語の勉強することは苦労されましたか?」
    M: 勉強が面白くなって苦痛ではありませんでしたが、かなり時間がかかりました。また、日本語を間違ったりして、誤解で人間関係が一時的にわるくなったりしたようなこともありましたが、後から誤解がとけることが多かったと思います。

    G:「英語でもしゃべってくださーい。」
    M: I'm afraid that using English might make it difficult for some students to understand. I will talk about English words and expressions later in the course, however.  Also many of the videos will have English in them.

また、授業で説明するのを忘れましたが、私のTwitterの使い方(メールからTwitterへの転送サービスを使っています)では、非常に厳しい文字制限があります。大体44文字程度です。また、改行を2回続けてすると、その改行以下の文字はカットされます。次のものはやや長いということで届かなかったと思います。

G: 「日本人は初対面の留学生に対して『どこの国の人?』と普通に聞きます。しかし、留学生からしてみたら、その質問は良い気分はしないとテレビで見たことがあります。これも文化の違いなのでしょうか? 」
M: どのような状況で「どこの国の人?」と言われた留学生がそのことを不快に思うかがよくわかりません。講義で少しコメントしたいと思いますが、デレビでのまとめ方に問題があったのではないかと思います。

G: 「去年ゼミで交換留学で日本に来た中国人の女の子と一年間過ごしました。自分のそれまでイメージしていた中国人と全く違っていて、先生が言われたように人間としては変わらないんだとおもいました。」
M: うれしいコメントですね。

教室変更

講義を1221教室で行うことになりました。

2011年1月21日金曜日

自分の意見

昨日から今日にかけていろいろなメールが届いています。個別に返事を書いていますが、ブログですべての質問と答えを紹介する余裕がありません。しかし、次の質問は特に重要だと思いますので、紹介したいと思います。
テストでは論述形式でと書いていたけど、著者が言おうとしていること・著者の主張について自由に自分の考えを規定の字数内に答えるという感じのテストなんですか?
次の返事をメールで送りました。
これは大事な質問です。「自分の考え」を書く余裕があれば是非書いてほしいと思いますが、姜氏の主張等を素通りして、自分の意見だけを書いてしまった場合には、評価できません。講義に関する質問についても同じことが言えます。
姜氏が一番言おうとしていることは何々、という結論だけだったら本と直結する文1つだけ書いて、後は自分の意見や感想というようなと書き方なら評価はかなり低くなります。「姜氏が一番言おうとしていることは***だと」切り出し、その後に姜氏の主張について更にくわしく説明することになります。どのような理由で***がいいと言っているのか?姜氏がいいという***と相容れない見解・立場としてはどのようなものに言及しているか?などのような事柄について詳しく書く必要があります。「一番言おうとしていることは***だ」という結論よりも、その理由や肉付けが重要です。別の言い方をするなら、「この学生が実際に本を読んでいることがよくわかります」というような答案になるようにしてほしいと思います。

皆さんの意見は重要です。皆さんの意見に興味があるからメールでやり取りをしたり、Twitterを使ったり、アンケートをとったりしてきました。しかし、試験では個人的な意見を評価することが難しいです。「本を読んだか」「講義をよく聞いて主旨を理解したか」なら評価できます。「何々に関する講義内容を要約して」というような問題だったら、その内容をきちんと要約した上で、「でも、私の意見はちょっと違っていて、・・・・」というのはりっぱです。しかし、求められている要約などを飛ばして、自分の考えしか書いていないような場合には、「ああ、この人は講義を聞いていなく、講義内容を要約できないので、思いつくことでごまかしている」と判断せざるを得ません。そのようなことにならないようにしてほしいと思います。問題と答案がよく噛み合うようにしてください。

では、明日、頑張ってください。

2011年1月20日木曜日

「美意識」と愛国

次の質問がメールで来ました。
P.23の中西さんに代表される「新・国体」論というのは、日本において美意識を究極の価値とすること(でいいのでしょうか…)と書かれてありますが、この美意識はどういうもの、どういう見方なのでしょうか?
まず、「国体」については「政教分離規定と靖国問題」でちょっと触れましたが、国家神道を中核とする戦前のナショナリズム・愛国の形態を指す言葉です。「新・国体」という言い方は、戦後の新しいナショナリズムや愛国の形態ではありますが、悲惨な戦争につながった戦前・戦時中の発想とどこかで似ているという考えを表現するために姜氏が使っていると思います。

「美意識」については、「美」を意識すること自体はいいけども、「美意識」などは愛国の基盤にはならないというのが姜氏の立場です。この点については133-4ページも多少参考になるかも知れません。本のあちらこちらで「美」とか「情緒」などを愛国の拠点とすることを批判していますので、本を読み進めるうちに「美意識」に対する姜氏に考え方が見えてくるのではないかと思います。

著者の主張とその具体例

今朝、次のメールが届きました。
私もテキストに目を通しましたがなかなか内容が読み込めません。本を読み私なりに作者の主張などをまとめてみると‥
作者は愛国心を考える上で***になるべきではないと考えている。《中略》といったことなどを作者は伝えたいのかなあと思いましたがどうなのでしょうか‥
あと本の内容の実例をあげて作者の主張を答えるテスト形式ですがいまいち本のは内容の実例というのが一体なんなのかが理解できません‥
このメールを高く評価しています。本を読んで理解できたことを書いた上で質問もしてくれました。言葉を"***"に置き換えたり、まとめの大部分を《中略》にしたりしたのは、かなり的を得た要約だと思うからです。ブログでこの的を得たところを褒めると「回答例」になってしまい、本を読まずに、このまとめ方を真似するだけというような答案の書き方を防ぐために、あえて中身を伏せています。

「実例をあげて」というのは、「***になるべきではない」の「***」として何を批判しているのかを具体的に説明することです。結論だけでなく、より具体的に何をどのように批判しているのか、何をどのように勧めているのかを書くことです。本を読んでいなくとも「そういうことだったのか」と理解してもらえるような書き方を求めています。

2011年1月19日水曜日

「テキストを入手できない」問題

「テキストが手に入らない」ということで困っている、という主旨のメールが届いています。9月や10月に講義で繰り返しテキストと試験問題について話しましたが、11月、12月になってからはもう少し入手するように催促すべきだったと反省しています。テキストに関する問題は全体の4割となっていますので、テキスト関連の問題で零点となると成績にかなり響きます。そこで、ぎりぎりになってしまいましたが、今日、救済策を考えました。下記の本は図書館にあるはずですが、どうしてもテキストを入手できなかった場合には、そのうちの一冊を選んで、読んでください。試験では選んだ本に関するエッセーを書いた場合には、本来読むべき本を読んでいないということで多少減点しないといけないと思いますが、おそらく本来の点数の6、7割分を与えられると思います。なお、試験では本の題をはっきりと書いた上で、その中身について具体的に、そしてできるだけ詳しく考察してください。
  1. 民族とネイション : ナショナリズムという難問
    塩川伸明著
    東京 : 岩波書店, 2008.11
    1階文庫・新書
  2. ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る
    梅森直之編著
    東京 : 光文社, 2007.5
    1階一般図書
    311.3/A46
  3. 民族とナショナリズム
    アーネスト・ゲルナー著 ; 加藤節監訳
    東京 : 岩波書店, 2000.12
    1階一般図書
    311.3/G33
  4. 今こそアーレントを読み直す
    仲正昌樹著
    東京 : 講談社, 2009.5
    1階文庫・新書
  5. ナショナリズムとメディア : 日本近代化過程における新聞の功罪
    鈴木健二著
    東京 : 岩波書店, 1997
    1階一般図書 361.45/SU96
上記の本が貸し出し中などの問題があった場合にはメールで連絡してください。図書館にある他の本の提案をメールで送ります。

政教分離規定と靖国問題

下記のメールが届きました。
ここ数日「愛国の作法」を読んでいるのですが思ったように内容が飲みこめず自分の予定では既に読破していたかったのですがまだ途中なのが現状です。。。ピンポイントでここがわからない!というより理解の仕方が私にとっては難しく(私の知識が乏しいが故ですが。。。)正直言うと今まで読んできた分も、筆者の思いがきちんと理解できているのかも自信がありません。
例えば、第二章 3国家と憲法 であげられているような「靖国問題」はp78の最後にある“「この国のかたち」にかかわる極めて重要なテーマ”としてダイレクトにこれが愛国心として心にとめておいて欲しいことの一つだといっているのか、この1冊を通して一つの答えを導くプロセスとしての一つとして理解すればいいのかがわかりません。
まず、具体的な質問に答えてから、この本の難読さについて書きたいと思います。

第二章は「国家とは何か」で、靖国問題に関する考察は「国家の憲法」という節にあります。「国」とは何か、「国家」とは何か、についていろいろな答え方がありますが、法律、つまり憲法で「国」のあり方が規定されているという考え方もあり、ここではそのことについて考察しています。戦前には政教分離がなく、「神道」と「国」が一体となる「国家神道」になっていました。「国」と「宗教」が一緒になってしまったので、国がやろうとする戦争になかなかブレーキがかからなかったという考え方があります。戦前のこの「国体」体制にこのような問題がありましたので、同様な問題を未然に防ぐために、戦後の憲法には政教分離の原理が盛り込まれました。姜氏は、憲法を国が靖国を管理できるように改正(改悪?)しようとする動きを取り上げていますが、このような憲法改正は戦前の体制に逆戻りするようなことになるという立場で注意を喚起しているように思います。また、間接的に、姜氏は「愛国=国家神道的な考え方」と発想の問題点を指摘していると思います。姜氏がこの本を通して、別の形の「愛国」を提案するための考察とも言えると思います。

『愛国の作法』の文体は確かにわかりにくいと思います。それは決していいことではないと思います。しかし、内容はいいと思います。読んでいると「木を見て森を見ず」に陥りやすいと思いますが、その落とし穴を避けるためにはできるだけ本全体の構成を考えながら読み進めるといいと思います。章全体のテーマは何か、それぞれの節のテーマは何か、それが章とどのような関係があるのか、などのように考えながら読んでもらえればいいと思います。

このように質問を送ってくれた学生については「本との格闘をしている」ことがわかりますので、理解しきれないところがあっても、最終的な成績評定の段階でその努力を高く評価できると思います。より多くの受講者からの質問をお待ちしています。

暴力が権利を消し去る

テキストに関する次の質問がメールで来ました。
64ページの『暴力が権利を消し去る』の部分で、権利が、ある一定のバランスを崩すと人々の中には均衡を保つために“暴力”が芽生える、という内容でしたが(この解釈で合っているのか不安ですが)、65ページの8行目「アーレントの言うように・・・」からの一段落の意味がいまいちピンときません。具体的にどういう事なのでしょうか?ヒントだけでもいいので教えてください。
まず、文脈は大事ですが、これは第一章「国家とは何か」の最初の節である「国家と権力」にある文章ですね。「国家と権力」はマックス・ウェーバー(20世紀初頭の社会学者)が国家を正当な暴力を独占する組織として定義したことを出発点にしています。「権力」との関係で姜氏はその暴力の「正当性」に直目しています。64ページの見出しの「暴力が権利を消し去る」で表現しているのは、「暴力」が行き過ぎて、正当性を失われると、「権力」(民主主義国家において、国民の支持を源とする力、つまり「統率力」)が弱くなるということだと思います。「アーレントの言うように」で始まる段落では、アメリカの場合は、ベトナム戦争がそうした暴力の行き過ぎの例になっています。月に人を送ることができたアメリカでも、「地上最小国の一つ(ベトナム)」に負けてしまった訳です。正当化できない暴力だったからだと思います。

「愛国」が行き過ぎると戦争につながる恐れがあるという意味合いで、この「国家」と「暴力」との関係は非常に重要だと思います。戦後、愛国心が好戦的な勢力(いわゆる右翼)の半ば「専売特許」になっていましたが、「そのままにしておけない」(12ページ)というのが姜氏の立場です。この本で、短絡的な戦争肯定論につながらない「愛国」のあり方について考えていると思います。

質問、ありがとうございました。他の受講生の質問を待っています。

2011年1月17日月曜日

学内私書箱

今日、秋学期のパワーポイントのスライドや動画の一部を「学内書箱」に入れました。「学内書箱」は学外からのアクセスはできませんが、学内のパソコンであれば、ファイルの閲覧やダウンロードはできます。

講義での説明を聞いていない人にとって、何を伝えるためのスライドや動画だったかを理解することがたいへん難しいものが多いと思います。また、スライドがパワーポイントのファイルに入っていても、その日に講義で見せる時間がなかったケースもあります。しかし、これらの問題点があっても、学内私書箱に入れてほしいという要望がありましたので、入れてみました。

講義に出席することできた人にとっては復習する上で多少役立つかもしれません。講義に出席できなかった人にとってはわかりにくいところが多くとも、参考になるスライドなどは少しあるかもしれません。

2011年1月12日水曜日

期末試験と『愛国の作法』

期末試験では『愛国の作法』(姜尚中著、朝日新書)に関する論述形式の問題があります。配点は40%となっています。本の主旨(著者が言おうとしていること、著者の主張)を本の内容を例示しながら書けるように準備すれば、この問題でいい点が取れると思います。その準備をする過程で難解な箇所、姜氏の表現がわかりにくいと思われる箇所などが出てくるだろうと思います。意味や意図に関する具体的な疑問が生じた場合には、メールで質問してください。質問してくれた人に対してはメールで返事を書いた上で、他の受講生に対してはブログまたは最終回の講義で質問および私の回答を示します。また、このような質問を積極的に寄せてくれることを高く評価しますので、万が一期末試験で十分に点をとることができなくても、事前に質問を送ってくれていることを考慮して採点します。

メールをお待ちしています。

2011年1月7日金曜日

小川さんへのお礼

今日の小川さんの留学に関する話についてはこういうコメントが届きました。
  • 小川さんから留学の話を聞けて留学にとても興味をもちました。
  • 今日、アメリカに留学している小川さんと画面を通して話を聞き、私はすごいなと思うました。私はどちらかというと外国に行くことに対して消極的な考えで留学や外国で仕事をしている人を尊敬します。やはりいろいろな文化を知ることができ、自分を成長させることができると思うので私も積極的な考えが持てればと思います。
  • 今日の授業はスカイプを使って留学生の話を聞いて、アメリカと日本の違いを実際に体験できている先輩が羨ましく感じました。
小川さん、本当にありがとうございました。

子安宣邦氏と爆笑問題のインタビュー

今日見せた子安宣邦氏と爆笑問題のインタビューについて次のコメントをもらいました。
欧米は歴史上よく国境が変化しているので、日本より「国は人が作った」意識強そうですね。
アメリカについては、日本より「作った」という意識が強いと思いますが、「国境が変化」してきたことについては、日本と欧州は案外似ているように思います。今日準備していたもう一本のビデオはまさにこのことに関する番組です。次回そのビデオを見せて説明したいと思います。

「人種」という概念

先週の講義に対するメール及び私からのコメントです。
  • 受講生から:「今日の授業で戦争のビデオを見て私は想像や聞いていた以上の悲惨さを感じました。人を殺す意識もなくなりただ虫を退治するようになっていたと聞いてとても信じられませんでした。悪気はなくただ使命感だけで行動していた人の気持ちがわかるわけではないが、否定できないところが戦争のすべてなのではないかと思いました。人を殺さなければ自分が殺され、自分の国のために一生懸命はたらいた兵士をせめることはできないと思いました。時代は違えど戦争に対する苦悩や葛藤はとても計り知れないものだと考えました。私たちができることは国単位であの国のはこうだという固定概念を捨てることではないかと思います。」

    マスデン:「私たちができることは国単位であの国のはこうだという固定概念を捨てることではないかと思います。」というのはそのとおりだと思います。

    暗いビデオではありますが、ビデオを通して過去の過ちについて考えることによって、似たような悲劇を回避できればいいと考えて、見せました。その主旨を理解してくれたことはうれしいです。

    ところで、このビデオとその後の人種に関する講義内容との間に密接な関係があると思います。アメリカ側が「人種」という概念を悪用して、人間性を否定するプロパガンダを作りました。人間性の否定は殺戮を可能にすると思います。
  • 受講生から:「人種という概念は、非常にあやふやなものである。私は、黒人が非常に運動能力が優れていると思っていた。しかし、やはり人によっては、運動能力が低い人もいる。だから、黒人だけが優れているとゆう概念を変えようと思った。」

    マスデン:そういうことです。スライドがうまく出てきませんでしたが、集団の差よりも個人差が大きいです。できれば、その点について次回補足したいと思います。

2011年1月6日木曜日

試験は22日(土)

22日に行われる試験について、次の質問を受けました。
試験と合同説明会が被ってしまったんですがどちらを優先するべきでしょうか?
授業への欠席なら私が対応を決めていいことになっていますが、試験となると、残念ながら担当教員の決定自己ではなく、教務課が決めることになります。難しいかと思いますが、是非教務課で聞いてみてください。

なお、当日、自己などで試験を受けられないようなことがあれば、至急教務課に電話してください。当日の問題についても、あくまでも教務課の判断となります。