2011年7月31日日曜日

「私たちはあなた方と共に同じ」

今年の日本語弁論大会での留学生の弁論の質の高さに驚かされました。NHKの全国大会と比べてもけっして劣らないレベルだったように思います。すばらしいスピーチがたくさんありましたが、中身的には、それまで比較文化論の講義で話していた内容によく一致しているという意味で中国から来日した韓簫(カンショウ)君の弁論を受講生の皆さんに聞いてもらいたいと思いました。先日、韓君にお願いしてみたところ、ブログに載せてもいいという返事をいただきましたので、こうして投稿することにしました。ぜひ読んでみてください。
私の故郷は四川省の成都市です。成都市は古くから「天府の国」と呼ばれています。皆さんはご存じだと思います。日中戦争の時、成都は大爆撃があったとされている所です。それで、今まで成都市の住民たちは日本政府に対して、良い印象を持っていませんでした。当時の生存者は今でも日本政府に賠償請求訴訟をしています。

私の故郷の人は多くの中国人と同じように、日本に対してあまり好感を持っていませんでした。しかし私は日本文化に興味を持ち、日本文化を学ぶことのできる大学に入学し、現在日本語を勉強しています。私の友達の多くは「世界中にいろいろな言葉があるのに、どうして日本語を勉強したい、日本語を勉強して何がしたいのか?」このように言いました。特に、私のおばあさんは日中戦争を体験したので、私が日本に行く理由をまったく理解してくれませんでした。

しかし、中国の人たちの日本に対する印象を大きく変える出来事が起こりました。2008年5月12日に大きな地震が発生したのです。地震の中心部、四川省は救援活動がとても困難でした。その大変な時、日本から医師や看護師で編成される緊急援助隊など派遣されました。私の故郷の住民も日本人への印象が変わりました。特に、日本救助隊が発見した被災者の遺体にお辞儀をしながら黙祷をささげている写真を見て、多くの中国人が心から感動しました。

今年、日本の東北地方で大きな地震があり、中国人にどんな反応があったのか、皆さんは知っていますか?実は、中国国家テレビはすぐにNHKの映像を中継放送していました。多くの中国人はそれを見てとても驚きました。特に、私の故郷は「同じ体験をした者として、少しでも助けになりたい」という考えを持っている人がたくさんいました。私の友達は「四川大地震の際、日本は中国に同情を示し、支援を提供した」、「私たちは日本に対して冷淡な姿勢をとらず、日本国民が震災で見せた優れた人間性をよく見て見習うべきだ」と言いました。

地球はただ一つだけで、人類は同じ仲間ではないでしょうか。同じ天災に直面して、日本人も中国人も、同じ運命ではないか。なぜ、戦争が終わって、もう半世紀が経った現在、敵対的な態度を持っている人がいますか。彼らはどうしてこんなにすばらしい国のことを知らないのでしょうか?私は何度も自分に問いかけてみました。中国も日本も相手の真実を知らずにただ嫌っている人がいます。私たち若者に、いったい何ができるのだろうか。

夜中、私一人で、心静かにして考えました。留学生としての私はただ1年間しか滞在することができませんが、できるだけ真実の日本を心で感じたいです。私や、私の家族だけが正しい日本の姿を見ることになること。それより、大勢の故郷の人たちが本当の日本を知ることの方が、もっと大切ではないかと感じています。ですから、私は日本語が上手になりたいと思います。もっと日本社会を体験したいと思います。日本留学を終えたら、故郷へ帰って、真実の日本を伝えたいです。日本人の勤勉さや、日本人の礼儀正しさや、日本語及び日本文化を、中国の人たちに伝えていきたいと思います。

ご静聴、ありがとうございました。

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