2007年1月22日月曜日

テキストの内容について

学生から下記のメールが届きました。
今テキストを読み終えました。線を引きながら読みましたがところどころ分かりにくいところもありました。私が歴史背景や言葉に疎いせいだと思いますが…。テキストの中で授業の内容と重なるところも多くありました。自分なりにテキストの内容をまとめようと思っていますが、全体を通してまとめようとすると難しいです。

確かに、全体をまとめるのは難しいと思います。いろいろなまとめ方があり得るからこそいい意味で「考え込む」ことになるかと思います。最終的に私から見て「正しい」まとめ方になっているかどうかよりも本をよく読んで内容について考えたかどうかが採点のポイントになります。答案の中でなだいなだ氏が書いたことを具体的に取り上げてそれについて考えたことを書いてください。エッセーとしてうまくまとめてあることはもちろん望ましいですが、「読んで考えた」ことを文で示すことがもっと重要です。

また、「ところどころ分かりにくいところ」があってと書いてありますが、具体的な質問があれば、このブロクへ質問等を投稿しませんか?メールで質問を受けてもいいのですが、できるだけブログを使って他の学生も見られるようにしたいと思います。

一人の学生から次のメールがありました。
今日の講義で先生が、「人種は科学的なものではなく、社会現象から生まれたものである」とおっしゃったことが大変印象に残りました。「民族という名の宗教」を読んでいる最中ですが、民族と人種についてかなり混乱している状態なので、自分なりに答えを導き出せるように頑張りたいと思います。

質問という形ではありませんが、「民族と人種についてかなり混乱している」とありましたので、次のような解説を書いて送りました。
「人種」(race) と「民族」(ethnicity)は、前者が先天的、後者が後天的という形で区別されることがあります。つまり、「人種」(race) が生まれる前に決まる遺伝と関連のある概念であるに対して、「民族」(ethnicity)は文化など、生まれた後に学習したことと関連のある概念ということで、この二つを区別して使うことがあります。しかし、日本語の中で「民族」という言葉がどのように使われるかを調べてみれば、先天的な意味で使われることもあれば、後天的に使われることもあります。概念が人間の先天的な特徴を指しているつもりで使われても、後天的な文化を指すつもりで使われても、人間が作った概念であって、いわゆるはっきりとして科学的な根拠がないことには変わりがありません。そう考えると「民族」と「人種」を区別して使う必要はないかも知れません。両方とも科学的な概念というよりも「通念」や「信仰」としての側面が重要かも知れません。

十分な答えができるかどうかはわかりませんが、何かありましたらこのブログに投稿するか、あるいはメールを私に送ってください。待っています!

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