講義で警視庁の犯罪者のデータのグラフがあり、警視庁のデータでは外国人と一まとめにされていましたが、それは日本が島国だったことにより他の国と関わる機会が少なかったからなのでしょうか。またアメリカ等ではそのようなデータを取る場合は人種などで分けられているのでしょうか。もし仮に人種で区分されているのであれば、レイシャルプロファイリングの原因の一つになるような気がしました。
私からの返事を概ね次のようのものでした。
メール、ありがとうございました。まず、アメリカなどでのデータの取り方について書きたいと思います。
警察がだれに対して職務質問等をするかを決める際に、人種等を考慮することはracial profilingと判断されます。ただ、アメリカでは、犯罪を含めて人種や国籍関連の統計を集めたりすることは通常racial profilingなどと考えられていません。逆にフランスでは人種等に関する統計を集めること自体は差別的な行為、あるいは差別につながるとして禁止されています。正に、フランスでは※※さんが書いたように「人種で区分されているのであれば、レイシャルプロファイリングの原因」になると考えられてきました。しかし、2005年の秋にフランスで貧しい移民による暴動が多発するようになり、この政策が多少問題視されるようになりました。暴動から半年後にHarry Roselmackというアフリカ系ジャーナリストがフランスの人気ニュース番組のキャスターとして起用されました。人種に関する統計すら集められないフランスではaffirmative actionは禁止されていますが、Roselmack氏の皮膚の色と彼の採用は無関係ではないようです。
さて、アメリカ政府などの人種と犯罪関連の統計を
http://www.ojp.usdoj.gov/bjs/
で見てみました。このサイトに載っている図の例をいくつか講義で紹介したいと思います。人種と犯罪関連の統計は発表されていますが、犯罪別にそれぞれの人種は何人捕まっているかなどというようなまとめ方は見当たりませんでした。
因に、人種と犯罪ではなく、移民と犯罪については、ハーバード大学のRobert J. Sampsonなどはアメリカにおいて、移民はむしろ犯罪率の低下につながるという研究結果を発表しています。このような現象は日本でも見られるかどうかとわかりませんが、「移民=犯罪増加」とは限らないという点では興味深いと思います。
マスデン
追伸 「日本が島国だから」というような説明にはあまり今がないと思います。イギリスは島国ですが、移民等に関する日本との相違点が多い。「日本が島国だから」というのは今の状況を理解することにはあまりつながらないと思います。むしろ「島国だから」ということで現状を正当化する形で使われることが多いと思います。
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