2010年5月20日木曜日

課題について

この講義では、1学期に一回だけ課題を提出することになっています。通常のやり方や締切などについては「成績評定」(このブログの右側にもリンクがあります)を見てください。

今回は通常の「講義関連の新聞の切り抜き」以外の課題の済まし方を3つ紹介します。
  1. 留学生弁論大会

    下記のとおり、6月12日(土)の1:30から、学生会館の4階で弁論大会が行われます。出席してよく弁論を聞いたことがわかるように、600字以上の感想文を課題として提出できます。メールによる提出もOK。


     
  2. ホンネの殿堂!!紳助にはわかるまいっ

    この番組は5月21日(金)の19:57から20:54までTKUで放送されます。この番組を分析・批評する文章を書くことが課題です。娯楽番組でも、良い意味合いでの異文化理解につながる側面と固定観念や偏見を助長したり、誤解を招いたりする恐れのある側面があるでしょう。両方の簡単から、1000字以上の批評を課題の代わりに提出できます。ただし、締切を5月24日(月)の深夜までとし、メールによる提出以外は認めません。

  3. 帰国報告会

    先週の授業で紹介した帰国報告会(19日に行われたもの)に出席した場合には、28日の講義の時間までに、600字以上の感想文をメールで送ってもらえれば課題と見なします。

2010年5月7日金曜日

授業後のメールの良い例

講義において、メールを取り上げることが多い。しかし、長いメールの場合には本の一部しかスクリーンに映すことができません。それでは頑張ってメールを書いている人はどのぐらい書いているかがわかりませんので、今日は特別に二人の学生からのメールを例として引用したいと思います。
4月30日の授業の要約

今回の授業のポイントは二つだった。
まず、一つ目のポイントは、言葉は単純ではないということである。
ある言語を他の言語で訳すと、ニュアンスが異なる場合がある。
翻訳は単純なものではない。
言葉はイコールではないということを学ぶことが大切である。

そして、二つ目のポイントは、誤訳がありうるということである。
誤訳に関する例として、イラン大統領のイスラエルに関する発言が挙げられる。
ペルシャ語で語られた言葉は、全く異なる意味に訳され、報道されてしまった。
さらに、他の解釈や誤解があるかもしれないという情報すら受け付けないという状況であった。
翻訳は単純ではないため、訳が正確ではない可能性もある。
訳をうのみにせず、間違っているかもしれないと考えることが大切である。

イラン大統領の発言の誤訳には、とても驚きました。
イスラエルの体制の変化を期待した意味合いから、
地図から抹消するとかユダヤ人を皆殺しにするという意味にまで訳されてしまったというのは信じられなかったです。
事実とは全く違う情報を、多くの人々が信じてしまう状況は恐ろしいです。
それが、戦争につながる可能性もあったことも、とても恐いなあと思いました。
確かに、授業でも英語を日本語に訳すこともその逆も難しいです。
訳を全て信じるのではなく、間違っている可能性もあるのだと頭に入れておきたいです。
また、翻訳は単純ではないことを理解しておきたいと思います。
そして、最後の戸田奈津子さんのお話も面白かったです。
戸田さんのことはテレビなどで見て知っっていたのですが、
映画の字幕翻訳のお仕事をされているのは知りませんでした。
字数制限がある中、状況を考えながら言いたいことは残してまとめることはとても難しいと思います。
次の授業も楽しみです。

もう一人の学生から

2010/04/30の比較文化論を受けて。

○:授業の要約
引き続き「思い込み」の話を、メディアと言語に関連付けて話が進んだ。

思い込みを一言で表現すると? 質問の回答は色々あった。
先生は、思い込みの結果よりも、そのプロセスを強調していた。
( process  → result )
「1つの考え」→「思考停止」
「1つの考え」→「間違う」
「1つの考え」→「他の意見を受け入れない」

更にイラン大統領の発言をプロパガンダにしたニュースや、戸田 奈津子さんの翻訳に関する話を例に取り上げ
言語をそう簡単に対応付けられない事、メディアが誤解を助長する可能性もある事を論じた。

○:感想
"Wiped off the map!!"
先生の説明を聞いていても、繰り返されると恐ろしげな気持ちになってきますね。

日本の政治家が「女性は産む機械(柳沢)」「日本は神の国(森)」と発言したとして
必要以上に失言だと騒がれていた事件を思い出します。
実際にはそれほど過激な発言はしていなかったのです。
国内ニュースでもこれだけ誤解が出るので、翻訳を通せばもっと酷いのは納得です。

そういえば、先生の話を全然聞かずに、ビデオだけ観て感想を送った人がいましたね。
先生からしたらそういう学生もいるのは当たり前なのかもしれませんが、個人的に興味深かったです。
いくら頑張って先生が伝えようとしても、聞く気がない人には誤解されるものなのだなあ、と……そして、外国人に対する誤解なども、もしかして全く同じようにして起こるのではないか、と……

この2つは特にいいと思います。もちろん、この二人だけでなく、他の学生からもたいへんいいメールが来ていますが、とりあえず最近読んだこと2つを例として紹介しました。全員がここまでやる必要はないだろうと思いますが、この二人が毎回このように書いてくれれば「A」の成績はほぼ間違いないと思います。というのは、毎回丁寧に講義内容の要約を書けば、内容が自然に頭に残るようになって、期末試験では楽に答案が書けるようになると思います。また、万が一期末試験でいい点が取れなくとも、このようなメールがほぼ毎回来ていれば、「B」の素点、場合によっては「C」の素点でも「A」の評価になると思います。

授業中のメールと授業後のメールについて

ここ数年、出席カードなどを配るのをやめ、代わりに授業後にメールで授業の要約や感想などを送ってもらっています。授業などで説明しているように、義務ではありませんが、送ってくれれば、成績評定の段階でメールを考慮してテストなどの素点よりも評価を上げることがあります。

さて、今年は授業後のメールに加えて、授業中にコメントや質問などをリアルタイムでスクリーンに表示できるように、別のアドレスにメールを送ってもらっています。2つのメールアドレスがあり、それぞれのメールの書き方が違うので紛らわしいようです。少しでも混乱を避けるためにそれぞれのメールの書き方をここで明確したいと思います。
  • 授業中のメール
    授業中にスクリーンに表示するためのメールはgmail.comのアドレスに宛ててください。件名にはお名前と学籍番号を入力してから、スクリーンに表示される文を本文のところに入力してください。授業後のメールと違って、授業中のメールではできるだけ簡潔な表現を心がけてください。


  • 授業後のメール
    授業後のメールをkumagaku.ac.jpのアドレスに宛ててください。件名には「比較文化論」の文字を入力し、本文にはお名前と学籍番号を入力してから講義の要約やコメントなどを書いてください。授業中とは逆に詳しく、丁寧に書くことが望ましいです。

なお、授業中の場合も授業後の場合も、私からの返事を受信できるように携帯などを設定してください。

2010年5月1日土曜日

「思い込み」や掲示板に関する感想

昨日の授業で「思い込み」に関する話の続きをしました。その前の授業では、報道ステーションの「気球少年」に関するニュースのなかの字幕が間違っていたことやその字幕を信じきっていた鳥越俊太郎氏が幾十の「思い込み」をしていたことを説明しました。今日はその続きとしてイランのアフマディネジャード大統領の「イスラエルを地図から抹消する」と訳された発言を取り上げました。これも誤訳であったこと、そして誤訳を信じきった多くの報道陣や政治家などの思い込みが危険な状況を一層危うくしたことを説明しました。

昨日の授業のはじめに、前の週に説明した「思い込み」の特徴を一言で表すとしたらどの言葉を選ぶか、と尋ねました。うれしいことに、たくさんのいい答えをもらえました。やはり、授業中に使う「掲示板」で、多くの皆さんが話をよく聞いていて、よく考えてくれていることがわかりました。多くの書き込みをいただいているので、授業中には1つ1つの書き込みについて十分なコメントができない場合がケースが多いのですが、授業が終わった後に読み直してみて、「よく参加してくれているな」と思っているところです。

ただ、同時に、大多数の受講生が授業をよく聞き、掲示板などを通して授業によく参加してくれている一方、よく聞いていない人も1、2割いることもメールを読んでわかりました。というのは、授業でパワーポイントのスライドで見せたように、鳥越氏のコメントは誤訳に基づいていたもので、単なる「思い込み」であったという説明がまるでなかったかのように、「鳥越氏のコメントの主旨」=「授業の主旨」だと思い込んでメールを書いた学生が相当数いました。授業で見せるビデオに興味を持つことは良いのですが、その前後の解説なども聞いてくださいね。