2012年11月30日金曜日

Opinions and facts

先日の授業で次の言葉を紹介しました。
Everyone is entitled to his own opinion, but not his own facts.
これは故Daniel Moynihanの言葉ですが、 「自分の意見を持つのはいいけども、自分だけの事実を持とうしてはならない」というような意味になると思います。(ネットで探しましたが、この言葉の日本語訳を見つけることができませんでした。もっと日本らしい訳し方がわかれば、教えてください。)要するに、意見(つまり何が一番重要か、どのような方向に進んでいくべきかなどに関する結論)が人によって違ってくるのは仕方がないけども、判断材料となる事実については共有できるはずだ、ということだと思います。例えば、日韓の歴史認識などについて言うなら、「意見」(何を重視するか、全体の流れに関する総合判断など)を合わせることができなくとも、多くの「事実」(客観的な裏付けによって「史実」として認定できるできごと)に関する認識を共有できるはずだと思います。最終的には「意見」の違いを認め合わなければならない場合が出てくるだろうと思いますが、まず共有できる「事実」について確認し合うべきだというのは私の意見です。意見を無理矢理合わせようとする必要はありませんが、「事実」に関する確認を怠ってしまうと、相手の立場を尊重しているとは言えないだろうと思います。

2012年9月27日木曜日

メールの書き方

メールの書き方に関するページを作りました。ここをクリックして、読んだ上で授業関連のメールを送ってもらえれば助かります。

2012年9月20日木曜日

English Weekend

English Weekendを計画している学生からの案内です。

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★English Weekend★
2012年10月6~7日(土・日)
場所:西合志研修センター
参加費:2000円 
毎年恒例のEnglish Weekendがあります!!!!!全学部学科参加可能です!!9月からKGUに来る新しい留学生たちも参加するので、英語を話したい人、国際交流をしたい人、なんか楽しそうだけん行ってみようかなっていう人、友達を誘ってぜひ参加してください!!当日は学園大からバスが出ます!! 

締切は9月28日です。参加希望者は学部、学科、学年、名前(漢字・読みの両方)を書いてenglishweekend2012@gmail.comまで送ってください!!

2012年7月26日木曜日

期末試験に向けて

今日の講義、期末試験でいい結果を出すためのアドバイスをしたいと思います。次の点が特に重要だと思います。
  • コミュニケーションとしての答案」をよく読むこと
  • 春学期のキーワード」を参考にしながら、自分メモや自分が送ったメールをよく読み直すこと
  • 『タテ社会の人間関係』をよく読み、「場」や「資格」をキーワードになっている著者の理論を、本の中にある事例を引き合いに説明できるように準備すること
なお、期末試験とは別に課題があります。今日が締め切り日となっていますが、遅れて提出することが提出しないことよりいいです。遅れて提出する場合は研究棟408号室の横のポストに入れてください。私が不在でも結構ですので、ポストに入れてください。

春学期のキーワード

ここで詳細に説明することはできませんが、これまで扱ってきた主なキーワードおよびテーマをリストアップします。
  • 講義の目標
  • 文化の定義
  • 思い込み
  • メディア
  • 確証バイアス
  • 裏返しの文化論
  • 用語から想像する文化論
  • 受け身的、アサーティブ、攻撃的コミュニケーション
  • コミュニケーションにおける責任
  • 翻訳
講義に関する試験問題の多くは、上記の概念と講義で紹介された例との関係を説明するようなものになります。予習する際、概念の意味だけでなく、その関連で紹介された事例に関する自分のメモ等をよく確認してください。

2012年7月19日木曜日

血液型に関するアンケート

イギリスからの交換留学生のアンケートに、ご協力お願いします。

http://blog.livedoor.jp/ksmasden-hikaku/にて、質問に答えてください。

2012年7月5日木曜日

課題の締め切り日

大雨の災害を受けて、課題の締め切り日週間延長して、26日にします。

2012年6月7日木曜日

外国人留学生弁論大会

下記のとおり、土曜日の13:30から、412教室で「外国人留学生弁論大会」が行われます。話を実際に聞きに行ったということが十分伝わるような要約や感想(600字以上)をメール(私の名字@kumagaku.ac.jp)で送ってもらえれば、課題として認めます。不明な点がありましたら、メールで問い合わせてください。


2012年4月26日木曜日

講義後のメールの書き方

今日、次の思慮深いメールが届きました。
講義の中で「日本人と外国人は根本的に違うかどうか」という問いがあった。私は違うと答えた。何故なら文化が当然違うからである。又、幼い頃からの教育の違いも大きいと考える。後になって考えてみると、問いの中の「根本的に」という語が引っかかった。根本的には、ある意味日本人も外国人も同じではないだろうかと。先生の考えにもある様に「人間国は違っても喜びや悲しみなどは共通する。」という部分には賛同しているのである。今、私自身がこの問いに対して解答するならば「日本人と外国人では根本的に違いはあるものの、共通する部分は多々ある。」としたいと思う。この解答の考え方は講義中の「絵本の例」に共通するものである。それは人間同士の共通点を見いだし、決して早合点することなく互いの習慣や考え方を理解し合うことが、良好な人間関係の構築には必要不可欠であると解釈する。

 次に、「日本人はステレオタイプが強いのでは」という問いに先生は「特にそうでもない」という考えであった。私の意見は違って、日本人はステレオタイプが比較的強いと考えている。但し、他国にも人種差別の問題がある様に一概には言えないのかもしれない。歴史的 に見ても日本人はあまり外国人に対して慣れていないこともあり、外国人に対する理解が薄いと考えている。テレビなどのメディア位しか 触れていない為、メディアで伝えられる印象を鵜呑みにしがちである。又、ある一人の外国人の考え方や習慣を知ると、その国の人々が 全員そうであると一括りにしてしまうのである。私自身はマスコミをあまり信用していない方ではあるが、長年の様々なメディアによる外 国人に対する印象は植え付けられていると感じる。「ステレオタイプは良好な人間関係の構築を阻害する。」このことは何も日本人と外国 人同士の関係のみに言えることではなく、同じ日本人同士でも言えることである。つまり、他人を理解しようと努力せずに、ただ色眼鏡で 見れば良好な人間関係が阻害されるだけでなく、最初から人間関係が全く構築されない結果と成り得るのである。 
この学生は明らかに講義内容について深く考えています。考えた結論は私自身の意見と一致するか、違ってくるかが重要ではなく、考えること自体が重要だと思います。断片的な言葉を少し書くだけでなく、このように考えを詳しく述べるメールをくれると考えていることがよくわかります。このようなメールをたくさんくれる学生のテストの結果はいいはずだと思いますが、万が一よくなくともこのようなメールを重視して良い成績にします。

二段落には、もう一つ模範的だと思うところがあります。つまり、自分の意見と私の講義内容とをはっきり区別して書いていることです。期末試験で「何々について講義内容を要約して」というような問いを出すことがあります。こういう問いに対して、講義で私が説明したこと、主張したことを無視して、「私が思うには」という違う内容だけ書いたら「この学生は講義を聞いていないのか」と思わざるを得ません。しかし、この学生のように「講義では何々、しかし私は何々」というような書き方をしてくれれば高く評価できます。テストにおいて意見を求めていない場合は特に書く必要はありませんが、自分の意見を書くなら、講義内容とどこが共通でどこが違うかについても述べてください。

2012年4月19日木曜日

日本人と外国人は根本的に同じ、違う?

先週の講義で「日本人と外国人は根本的に違うかどうか」に関するアンケートをしました。選択肢は
A 根本的に似ている
B 根本的に違う
でした。


「根本的に似ている」意見に関する書き込み
  • 同じ哺乳類ヒト科だから
  • 日本人だけが他の人たちと違うということはないと思うからです。
  • 私は似ていると思います。
  • 同じ人間なので、文化や育った環境には違いがあるのは当たり前であり、しかしそれは同じ熊本や日本に居ても違うと言えるので海外だからと違うわけではないと思う
  • 同じ哺乳類ヒト科だから
「根本的に違う」意見に関する書き込み
  • 性格が全く違うから
  •  4月11日の分は出席となっていますか?出てますが、届いているのか不安です。
  • 文化とかから全く違うと思う。
  • あげぽよ
  • ブツの大きさ
  • 価値観や宗教が違う
  • 言語、文化、習慣が違うから!
  • 考え方が違うと思う
  • 食文化が違う

一年間ほど海外で働いたい?

講義で「一年間ほど海外で働いたい?」かどうかに関するアンケートをしました。選択肢は
A いいね
B わからない
C 嫌だ
でした。結果は次のようになりました。


「A いいね」の理由に関する書き込み
  • イタリアで働きたいです。
  • 早く海外で働きたい( ̄▽ ̄)
  • めっちゃ海外で働いてみたいです!
  • いい経験になりそう
  • 卒業後、イタリアでの就職をかんがえています
  • I am not good at English but
  • ぜひ!!
  • 将来、海外で働きたいので何年でも行きたいです。
  • 日本では出来ない事をしてみたい。
  • 特にヨーロッパ圏で働いてみたいです。
  • 興味はすごくあるのですが、語学力に自信がないです…
  • ぜひ!
  • 母が外国の方なので是非行ってみたいです。
  • てへぺろ
  • ホームステイした際にとても楽しかったため。
  • 一度はやってみたい。
  • いいと思う(^-^)/
  • 海外に憧れをもつので
  • いきたいです!!
  • ラスベガスにいきたい
  • 海外にいる日本人はどんな仕事してるか気になる。
  • 興味深いです。
  • 海外で住みたいし、そうすれば必然的に海外で職をみつけることになるからです。
  • 海外に興味あるし、海外がどのような環境でどのような仕事があるのかなど体験してみたいから!
  • 外国で働くことで日本では学べないことを学べると思うし行って損はないと思ったから。
  • 私は海外に興味があるし、海外セレブのドラマなどをよく見ます!
  • ほんとうにあのような環境や、仕事などあるのかといろんなことを自分の目でみてみたいと思った!
  • 私は海外に興味があるし、海外セレブのドラマなどをよく見ます!
  • ほんとうにあのような環境や、仕事などあるのかといろんなことを自分の目でみてみたいと思った!
「B わからない」の理由に関する書き込み
  • お金次第ですね。
  • 興味はある。
  • 語学力があれば働きたい
「C 嫌だ」の理由に関する書き込み
  • やっていける自身がない
  • 恐いので
  • 国際化が奨励される昨今ではありますが、個人的には見ず知らずの土地で働くのは怖いです
  • 絶対嫌だ
  • 話せない…


2012年1月24日火曜日

コミュニケーションとしての答案

文化の違いを超えていい人間関係を作っていく上で、コミュニケーションは極めて重要となります。春学期と違って、今学期では「コミュニケーション」を特にキーワードにはしていませんが、講義で話したような誤解などを克服する上でもっとも重要な手段は、やはり相手とのコミュニケーションに他ならないでしょう。コミュニケーションをとる上で特に重要だと思うのは、「話が噛み合うようにすること」と「十分な説明をすること」、「正直に伝えること」です。試験での私たちの間のコミュニケーションの場合にもこの三つはたいへん重要となります。ここで、この三つの観点から、試験問題に対する答案の書き方について考えてみたいと思います。

  • 話が噛み合うようにすること

    本講義の試験問題では「Aを書いた上で、Bを説明してください」のような表現をよく使います。説明するまでもないと思いますが、噛み合うような答案を書くとすれば、まず「A」を書かなければなりません。しかし、その「A」にまったくふれない答案が意外と多い。「書かない」のではなく「書けない」からそういう答案になってしまっているケースが多いだろうと思います。しかし、同じ学生の別の問題の答案に、その肝心な「A」を見て「ちゃんとわかっているなら、どうしてもう一つの答案で触れなかったのか」と不思議に思ったことも少なくありません。

    本講義の「Aを書いた上で、Bを説明してください」という形式の問題の場合、最後に「(配点=10+10)」のように配点を示すことにしています。「10+10」というのは、20点満点の問題の内訳は、「Aを書く」部分が10点で、同様に「Bを説明」部分も10点だということです。「Aを書く」部分を無視して説明しようとしても、「Aを書く」部分を無視したということで最初から点数の半分を放棄したということになります。このように、問題の文言が採点基準となりますので、問題と答案がよく噛み合うようにしてほしいと思います。答案を書いた後に、急いで試験場を後にするのではなく、問題が求めている内容等が答案に含まれているかどうかを再度チェックしてください。

  • 十分な説明をすること

    十分に問題と答案とが噛み合うように書こうとすれば、自ずと十分な説明になるはずだろうと思いますが、舌足らずで断片的な答案の書き方が多いので、改めて「十分な説明」の大切さを強調したいと思います。例えば、「AとBの関係を説明してください」ような問題なら、「Bは何々だから」というのは、まず、Aにはまったく触れていないので、どのような関係があるかについては想像するしかありません。「AとBの関係」を説明するなら、AとBの共通点や違い、接点などが読者に伝わるようにしなければなりません。

  • 正直に答えること

    論述形式の試験問題に対して、答えがわからない学生がごまかそうとするのは、よくあることです。しかし、実世界では「わからない場合にはわかるようなふりをしてごまかす」ことは悲惨な結果につながることが多いことを忘れてはならないと思います。従って、私は「ごまかし」と断定できる答案に厳しく、逆に「正直」な答案にはやや甘くします。例えば、テキストのタイトルにある語句から想像して、「ごまかし」の答案をでっちあげようとしてと判断した場合には0点にしますが、「テキストの一部しか読むことができなかったが、私が読んだ箇所では・・・」のように正直に書かれた答案をやや甘く採点します。ぜひ、「ごまかし」をせずに、正直に問題に答えてください。

コミュニケーションとしては、「試験」というのはやや不自然な側面があることは否めません。片方(教員)が強制的に「答え」だけを要求する形式は、自由に言葉のキャッチボールが続く会話とは著しく異なっています。しかし、それでも試験の「問題」に対して「答案」を書くという行為はコミュニケーションの一種であることに変わりはないと思います。試験でも実世界でも「質問と噛み合ない答えをする」ことや「理解されないような断片的な答えをする」こと、「相手の不信感を買うような不誠実な答えをする」ことはいい結果につながらないと思いますので、上記の三点に十分に注意していただきたいと思います。

未提出課題

課題は成績全体の2割となります。締切は過ぎていませすが、遅れてでも提出した方が提出しない場合よりいいです。研究棟4階の408号室(マスデンの研究室)の横にあるポストにいれてください。課題の書き方などについてはここをクリックしてください。

「メガチャーチ」について

次の質問が届きました。
89ページのメガチャーチについてですが危険(暴力、犯罪、ドラッグ)からセキュリティを求めてる点をアメリカではメガチャーチと称されていますが、アメリカに限らず世界各国で危険から安全を求めてる団体があると思います。日本の場合はないのでしょうか?

メガチャーチについていまいち理解できないのでお願いします。
次の答えを送りました。
このメガチャーチに関する記述が「セキュリティへのパラノイア」という章の中の一節となっていることに違和感があります。もちろん、「ディストピア[理想郷ユートピアの正反対の社会、つまり、問題だらけの世の中]から閉ざされた空間や関係性と『セキュリティ』を希求している点は」同じと書いていますが、実際に説明を読んでみると「ゲーテッド・コミュニティ」のように「閉ざされた」空間ではないということがわかります。「セキュリティ」という概念で、「ゲーテッド・コミュニティ」と「メガチャーチ」とを結びつけることには多少無理があるように思いますが、「ゲーテッド・コミュニティ」も「メガチャーチ」も非常に重要な社会現象であることは間違いないと思います。

メガチャーチはゲーテッド・コミュニティほど排他的なものではないと思いますが、しかし、似たような考えの人が集まり、結果的に同じ価値観を持つとしか交流しなくなるという問題点はあるだろうと思います。アメリカ人同士の間の亀裂のもう一つの現れと言えるのではないか思います。

とにかく、試験については、ごく理論的なこと(セキュリティとの関係、アメリカ人同士の間の亀裂の現れの一つかどうかなど)よりも、「メガチャーチ」とは大体どういうものかを理解して、説明できれば十分だと思います。「メガチャーチ」とは大体どういうものかについては、おそらく本にある説明を読み直してみるとだいたいわかるだろうと思います。 読み直してもピンと来ないところがあれば、メールで記述に関する具体的な質問を送ってください。

『愛国の作法』について

『愛国の作法』が品切れとなったため、テキストを『アメリカン・デモクラシーの逆説』に変更せざるを得ませんでしたが、テキスト変更より先に『愛国の作法』を購入した学生のために、『アメリカン・デモクラシーの逆説』に関する問題の代わりに選択できる『愛国の作法』に関する問題を用意すると言いました。その関連で次の質問を受けました。
愛国の作法の本を読んでいるのですが、正直理解するのが難しいです。それで『アメリカンデモクラシーの逆説』の方は試験のヒントなど書いてあったので、よかったら愛国の作法の試験のヒントもホームページ上に載せてほしいです。
既に参考になる投稿がこのブログにあります。参考になる順(投稿された日付順ではなく)にリストアップします。
なお、昨日(月曜日)、丸善にあった『アメリカン・デモクラシーの逆説』が売り切れました。このようなことがあるかも知れないということで講義で早目に購入することを進めました。本来は『アメリカン・デモクラシーの逆説』に関する問題に答えるはずの学生でも、『愛国の作法』を試験までに読むことができれば、その問題答えてもいいです。

「市場による規制」について

次の質問が届きました。
「アメリカン・デモクラシーの逆説」の58ページに、「政府による規制」よりも「市場による規制」、つまり企業のほうが~ こうした逆説の生じる余地が増幅した。とあります。これは政府の政策や軍事・安全保障、行政が民間企業のロビイストによって支配され、政府は民間企業の意向に沿った政策をしているということなのでしょうか?また、逆説の生じていない状態というのは、政府が民間企業からの圧力を受けていない状態ということですか?この部分がよくわかりません。
次の答えを送りました。
「民間企業の意向に沿った政策」になってしまうというのはそのとおりです。「市場による規制」というのは耳慣れない表現ですが、おそらく市場にまかせれば、物事がアダム・スミスが考えてような「見えざる手」によって良い方向へ導かれるだろう、という発想だと思います。「市場調整機能」という語句はことのことを指していると思います。

58ページで言う「こうした逆説」については、ここで著者がどのような逆説を意図しているかについては今ひとつ自信はありませんが、おそらく公益につながるはずの自由がむしろ公益を損なわれてしまっているということではないかと思います。「逆説の生じていない状態」ということではなく、以前にも増して「逆説が生じやすくなった」ということだと思います。この本でいう「逆説」は「理想」と「現実」との間のギャップを指すことが多いと思います。ここでは市場主義の理想と現実との間に大きな隔たりが生じてしまったていることを「逆説」という言葉で表現していると思います。

実はロビイストについても、「理想」と「現実」との間のギャップがあります。「ロビー活動」の基本というのは一般市民や市民団体の代表などが自分を代表する政治家に要望を伝えたり、問題解決の必要性を訴えたりすることで、民主主義を更に充実させていく良い活動ですが、今ではロビー活動のための予算、また政治献金のための予算が非常に大きい企業の活動があまりにも多くなりすぎたために、一般市民の声が政治家にはあまり届かなくなったという「逆説」が生じていると言えるだろうと思います。

2012年1月23日月曜日

学内私書箱について

要望があり、講義のPowerPointファイルを学内私書箱に入れる約束をしましたので、今日、遅ればせながら、入れました。ただ、講義に出席していれば見る必要はないだろうと思います。むしろ、学内私書箱を見ることに時間をかけるようりも、テキストを読み直したり、自分のノートを読み返したりする方がいいだろうと思います。その理由としては次の点が上げられます。
  • PowerPointファイルは講義の後に修正していませんので、実際にその日に見せなかったスライドが多数含まれていることが多く、その日の講義のきちんとした記録にはなりません。
  • PowerPoint以外のビデオ、Twitter、pdf等、講義の中で見せたもの、話題にしたもので学内私書箱に入れていないものが多いです。
  • PowerPointのスライドは「読んで理解できるように」作られているものではなく、講義の説明のためのメモのようなもので、説明がないと理解できない、あるいは誤解を招くものも多いです。
  • 試験問題は理解を文章で示すことを求めていて、PowerPointにあった語句を暗記して答案に書いてもほとんど評価できません。
以上のような理由で、慌てて学内私書箱にあるファイルを見る必要はないと思いますが、一応参考までに載せました。

「リベラル派」とは?

次の質問が届きました。
P16の最後の行からP17のはじめにかけて、(逆に、リベラル派にとっては、こうした保守派のかたくななまでの政府への不信は、まさに「反知性主義」の証左であるかのように映る)とあるのですが、この内容がどうも理解出来ません。それまでの内容から、私はてっきり、どちらかと言うとリベラル派は共和党のことで、レーガン元大統領が保守大連合を束ねた事から保守派だと理解していたのですが、違うでしょうか?
次の返事を書きました。
一般的に、アメリカにおける「リベラル派」と言えば民主党のことで、共和党が「保守派」となります。普段、アメリカの中では民主党がliberalと言われ、共和党がconservativeと言われるが、やや紛らわしいのは、この章で指摘されているように、実は、民主党も共和党もいわゆる「自由主義」(liberalism)の伝統を汲んでいます。引用してくれた文では、一般的な意味合いで「リベラル派」という表現を使っています(つまり、民主党支持者を指す意味で)。「反知性主義」というのは、「理不尽」と言うか、「そこまで疑われる理由がないのに」というような意味だと思います。
このような質問を評価しますので、疑問に思うことがあれば、ぜひメールで質問を送ってください。

2012年1月11日水曜日

テキスト関連の試験問題

既にテキスト変更に関する投稿「成績評定」というページで書いているうに、テキストに関する問題の配点は4割となります。講義をよく聞いていても、テキストを読まずに試験を受けると合格点にならない可能性が高いので、必ずテキストを入手し読んでください。

ここで試験問題そのものを公開することができませんが、だいたいどのような問題になるのか、そしてどのように準備をすればいいかを説明したいと思います。
  • どのような問題になるのか?

    テキストの主なテーマはアメリカにおける民主主義です。最終回の講義でも説明するように、アメリカという国あるいは国民にとって民主主義はたいへん重要です。しかし、民主主義はアメリカ人としてのアイデンティティーの中心的な概念をなしていることは事実であっても、建国の日から現在にいたるまで、その崇高な理想と矛盾する現実・慣行などがいろいろありました。本書はアメリカの理想としてのデモクラシーとそのデモクラシーをめぐる矛盾(逆説)をさまざまな角度から扱っています。

    試験問題ではアメリカの民主主義と関連のあるいつかのテーマや事柄をリストアップして、その中から二つを選んでもらい、そのテーマや事柄関連の本の内容をできるだけ具体的に、できるだけ詳しく要約してもらいます。

  • どのように準備をすればいいか?

    「できるだけ具体的に」要約してもらうことになりますので、漠然とした記憶しかないとたいへん書きにくくなります。ほんの中の内容を全文覚える必要はありませんので、試験の前に本を見直して、興味をもった内容、驚いた内容、重要だと思った内容などをメモって、試験で具体的に要約できるように準備してください。もちろん、問題そのものを事前に公開していませんので、興味をもった具体的な内容であってもうまく試験問題に関連づけていけるようなものかどうかについては問題そのものを見るまだはわからないでしょう。しかし、アメリカにおける民主主義と関連のある具体的な内容を要約できるように準備をすれば、きっとその準備の多くが投稿を書く上で役に立つだろうと思います。

    なお、本書には具体的な「アメリカ事情」のほかに、比較的な難解な理論的な考察も含まれています。今回の問題は理論に関するものにはなりませんので、より具体的な内容を要約できるように準備をするといいと思います。しかし、難解と思われた内容について事前にメールで問い合わせてもらえれば、採点の際にその努力を考慮します。