2011年1月19日水曜日

政教分離規定と靖国問題

下記のメールが届きました。
ここ数日「愛国の作法」を読んでいるのですが思ったように内容が飲みこめず自分の予定では既に読破していたかったのですがまだ途中なのが現状です。。。ピンポイントでここがわからない!というより理解の仕方が私にとっては難しく(私の知識が乏しいが故ですが。。。)正直言うと今まで読んできた分も、筆者の思いがきちんと理解できているのかも自信がありません。
例えば、第二章 3国家と憲法 であげられているような「靖国問題」はp78の最後にある“「この国のかたち」にかかわる極めて重要なテーマ”としてダイレクトにこれが愛国心として心にとめておいて欲しいことの一つだといっているのか、この1冊を通して一つの答えを導くプロセスとしての一つとして理解すればいいのかがわかりません。
まず、具体的な質問に答えてから、この本の難読さについて書きたいと思います。

第二章は「国家とは何か」で、靖国問題に関する考察は「国家の憲法」という節にあります。「国」とは何か、「国家」とは何か、についていろいろな答え方がありますが、法律、つまり憲法で「国」のあり方が規定されているという考え方もあり、ここではそのことについて考察しています。戦前には政教分離がなく、「神道」と「国」が一体となる「国家神道」になっていました。「国」と「宗教」が一緒になってしまったので、国がやろうとする戦争になかなかブレーキがかからなかったという考え方があります。戦前のこの「国体」体制にこのような問題がありましたので、同様な問題を未然に防ぐために、戦後の憲法には政教分離の原理が盛り込まれました。姜氏は、憲法を国が靖国を管理できるように改正(改悪?)しようとする動きを取り上げていますが、このような憲法改正は戦前の体制に逆戻りするようなことになるという立場で注意を喚起しているように思います。また、間接的に、姜氏は「愛国=国家神道的な考え方」と発想の問題点を指摘していると思います。姜氏がこの本を通して、別の形の「愛国」を提案するための考察とも言えると思います。

『愛国の作法』の文体は確かにわかりにくいと思います。それは決していいことではないと思います。しかし、内容はいいと思います。読んでいると「木を見て森を見ず」に陥りやすいと思いますが、その落とし穴を避けるためにはできるだけ本全体の構成を考えながら読み進めるといいと思います。章全体のテーマは何か、それぞれの節のテーマは何か、それが章とどのような関係があるのか、などのように考えながら読んでもらえればいいと思います。

このように質問を送ってくれた学生については「本との格闘をしている」ことがわかりますので、理解しきれないところがあっても、最終的な成績評定の段階でその努力を高く評価できると思います。より多くの受講者からの質問をお待ちしています。

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